ヴァイトの後のひとり言

こんばんは。

そういえば今月はほとんどブログを更新していなかったな、そろそろ何か書くかと思い立ったのが四日ほど前。
しかし、春休みに入ってからというもの暇さえあればアルバイトという模範的な大学生活を送っているため、特筆すべきこともない。
ならばいっそのこと「大学生にとっての労働とは何か」みたいな記事を書いてやろうと思い、ヴァイト中にいろいろ考えていましたが四日経ってもあまり考えがまとまりません。何かしらの結論が出たら書きたいテーマではありますが…

余談ですが「バイト」って、ちゃんと発音すると「ヴァイト」になるみたいですよ。嘘です。語源はドイツ語のArbeitだそうで、正しい発音は「バ」です。


そんなくだらないことを考えながら働いていたとき、これまで全く気にもかけなかったことに対して、急に違和感を覚えました。
知ってる方は知ってると思いますが、私はファストフード店で働いています。
皆さんもファストフード店に行かれることがあると思うので思い出していただきたいのですが、お客が店に入り、オーダーをしようとカウンターの前に立ったとき、店員から真っ先に言われる言葉はなんでしょうか。


ご名答。「いらっしゃいませ」ですね。
いらっしゃいませ。バイト先に採用が決まってから幾度となく発してきた台詞ですが、よくよく考えると違和感の強い言葉です。

さて、高校生気分に戻って、この「いらっしゃいませ」という言葉を品詞分解してみましょう。
皆さんもやってみてください。









できましたか?
正解は、尊敬の動詞「いらっしゃる」の連用形イ音便+丁寧の助動詞「ます」の命令形です。簡単ですね。
「いらっしゃる」と言うのは「来る、居る」という意味の尊敬語です。それに丁寧の助動詞の命令形がくっついているわけですから、意味としては「来い」というのを最大限に丁寧な表現にしたものであると言うことがわかります。

ここまで来れば、賢い読者の皆さんなら私が感じた違和感の正体がわかってきたと思います。
そうです。たとえば呼び込みなどで、道行く人に自分の店に来てもらおうとする時には「いらっしゃいませ」は非常に適切な言葉です。
しかし、ファストフード店で、既に店にやって来て何かを頼もうかという客に向かって「来てください」というのはおかしな話です。違和感しかない。「ようこそいらっしゃいました」あたりが適当でしょう。


ですが私は、明日からも「いらっしゃいませ」と言い続けるでしょう。
なぜか。この来店時の「いらっしゃいませ」はもう慣用表現として浸透してしまっているからです。
言葉の意味をたどればおかしいからといって、「ようこそいらっしゃいました」なんて旅館の女将みたいな接客をすれば客から不審がられるに決まってます。

言葉は生き物です。常に使用状況に応じて用法も変化し続けています。
そのような中で文字通りの原義なんて意味を持たない言葉も出てきます。
今回の「いらっしゃいませ」はその好例です。大多数に認められている用法が正しいのです。

もしかしたら、慣用表現として、誰も原義を気にしていないのかもしれません。
「レシートのお返しです」が日本語的におかしいと教えてきたバイト先の接客教育でさえ、「いらっしゃいませ」に関してはむしろ推奨しているのです。

正しい日本語とは何なのか。文字通りの意味は役に立たないのか。


ちょっと面白くなってきましたが、明日もヴァイトがあるので今日はこの辺で。
最後まで読んでいただきありがとうございました、またお越しくださいませ。