【ディスクレビュー】CEREMONY/King Gnu
こんばんは。皆さんいかがお過ごしでしょうか。
私は時間が余って仕方ないので、今日から1日1枚ペースでディスクレビューを書いていきたいと思います。
記念すべき第一回で取り上げるのはこちら。
King Gnuのセカンドアルバム、CEREMONY(2020年)です。
さて、私はアルバムというフォーマットの魅力として、「楽曲を順番に再生することによって生じる相乗効果」があると考えています。
アルバムとして流れで聴くことによって、個々の楽曲を別々に聴く以上の良さが生まれます。今回紹介する作品は、その良い例です。
King Gnuは前作「Sympa」の翌月から矢継ぎ早にシングルをリリースし、昨年末には紅白歌合戦に出演するまでにブレイクを果たしましたが、個人的にはこれらのシングル群に正直あまり魅力を感じていませんでした。
しかし、アルバムという形で収録されることによって、それらの楽曲の真価が発揮されています。シングルとして単曲で出てきたときは何だこれ、という感じだった「白日」も「飛行艇」も、アルバムの流れで聴くと高揚感をもって聴き手に迫ってきます。
このアルバムの一番の魅力は、そんな高揚感にあります。
これでもかと楽曲をたたきつけてくる構成、それに対して聴き手は「次はどんな曲が来るんだろう」というワクワク感を抱く。そういったエンターテイメント性はここ数年に発表されたアルバムの中でも最高級です。
そのワクワク感の中で先行曲が適所に配置されていて、最後まで高揚感を切らせることなく聴くことができます。
このアルバムの魅力を成り立たせる要因として、次の2つがあると私は考えます。
1.個々の楽曲のクオリティが高いのにキラーチューンがない
ヘッドホンで聴けばわかると思うのですが、とにかく音の作りが深い。メインメンバーが藝大出身ということもあり、細部のアレンジのクオリティがめちゃくちゃ高いです。これが最後まで飽きずに、新鮮な気持ちを保って聴ける要因の1つだと思っています。さらに、このアルバムには所謂キラーチューンがない。突出して悪目立ちする曲がなく、アルバム全体のバランスが保たれているわけです。シングル曲だった「白日」も他の収録曲にスッとなじんでいます。「白日」を聞き終わってもそこで再生を止めずに次の曲に進みたくなる。これも大きな要因です。
2.アルバムの構成
もう1つはアルバムの楽曲構成です。いくら個々の楽曲が良くても構成がぐちゃぐちゃでは駄盤に成り下がってしまいます。このアルバムには1曲目とラスト、そして本編の真ん中にそれぞれ「開会式」「閉会式」「幕間」というインスト曲を配置されており、この3曲が全体の大きな流れを決めています。「開会式」から「幕間」までの前半にはイントロのない曲を配置することでアルバムが始まってからの高揚感を失わずに次の曲に入り込めるような演出がなされており、「幕間」を挟んだ後半ではイントロのある曲で少しクールダウンし、本編ラストのバラード「壇上」にすべてを収束させる。非常によく考えられた構成が、このアルバムを最高級のエンターテイメントに仕立て上げているのです。
いろいろ書きましたが、何言ってるかわからない人もいると思うのでとりあえず聴いてみてください。