【ディスクレビュー】WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?/Billie Eilish

こんばんは。

今日は洋楽のアルバムを紹介します。

1月のグラミー賞で最優秀アルバムを含む主要四部門をすべて受賞したビリー・アイリッシュのファーストアルバム、WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?(2019年)です。

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さて、グラミー賞を総なめした以外にも昨年の全米年間アルバムチャートで1位を獲得する等名実ともに2019年を代表するこのアルバムですが、そのヒットの要因は一体何なのでしょうか。

 

18歳という若さのためティーンエイジャーからの支持が厚いというのもありますが、最大の要因は、やはり革新的な音楽性でしょう。

ときに恐怖さえ感じるほどの暗さと中毒性を兼ね備えたサウンドプロダクションで停滞気味だったポップミュージックに新たな形態を提示し、聴き手に新鮮な衝撃を与えたのがこの作品だと私は考えています。

 

ではこの暗さと中毒性の共存はどこから来るのか。

その雰囲気を演出するのは、打ち込みのビートとベース、そして囁くようなビリーの歌い方です。特にシングルにもなった「bad guy」や「bury a friend」を聴いていただければなんとなく私の言っていることがわかると思います。

ビリー・アイリッシュの楽曲はその暗さからアンチポップとして位置づけられることも多いですが、私はあくまでポップミュージックの新しい形としての表現だと考えています。まだ聴いたことない方はぜひ聴いてみてください。

 

そして、アルバムを語る上で避けて通れないのが全体的な構成についての話です。

このアルバムには「bad guy」という最高に強烈なキラーチューンがありますが、この曲は2曲目に収録されています。

その前に収録されている1曲目は、「!!!!!!!」というちょっとした台詞と笑い声だけが収録された非常に短い曲(?)が配置されています。つまり、再生開始直後にいきなりキラーチューンが始まるのではなく、ワンクッション置かれることによってアルバムというフォーマットに入り込みやすくなっています。

さらに、「bad guy」はラストで曲調がガラリと変わるのですが、それが次の曲に移行するための緩衝材になっていて、他の収録曲と比べて「bad guy」が浮いた存在になるのを防いでいます。そうすることにより、「!!!!!!!」から徐々に聴き手の高揚感を高め、「bad guy」で早くもクライマックスを作りながらその後の収録曲への気持ちを削がない、素晴らしい導入ができあがります。

 

中盤にピアノの生音を伴奏に歌い上げる「when the party's over」を配置し冒頭からたたみかける衝撃の連続に対して箸休めのような時間を作り出しているのもポイントです。

そしてラストはバラード「i love you」から、ここまでの様々な収録曲の歌い出しの歌詞をフィーチャーした「goodbye」に繋いできれいに締めくくります。

 

日本でも話題のアルバムです。この機会にぜひ聴いてみてください。

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