ゆるキャラ論

こんにちは。
先週、今年のゆるキャラグランプリの結果が発表されましたね。
私の心の故郷東大阪市のイメージキャラクターであるトライくんが全国三位を獲得していました。
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高校ラグビーの聖地である花園ラグビー場を擁する東大阪らしいキャラクターですね。
昔はこんなにかわいくはなかったのですが…

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(参考画像:イメチェン前のトライくん)

昔の印象が強かったので、トライくんが三位になったと聞いたときは本当に驚きました。
アレ(参考画像)が全国で3番目に人気なわけがない。

ということで、今回はゆるキャラの話です。

ゆるキャラ。その名の通り、ちょっと前にブームになったゆるーいキャラクターのことですね。
調べてみると、思ったよりもその歴史は古いみたいです。
ゆるキャラ」という呼び名はみうらじゅん氏によって考案され、2004年に商標登録されています。名前自体は13年前からあるんですね。
また、「ゆるキャラ」という言葉が一般に広まったのは2008年頃で、この年の新語・流行語大賞にノミネートされています。
2010年からゆるキャラグランプリが始まり、徐々にブームがやってきました。
ブームが頂点に達したのは2013年頃です。この年には「ご当地キャラ」という言葉が流行語大賞のトップテンを獲得しています。

このゆるキャラブームに乗っかれ、とばかりに全国各地でご当地キャラが大量に登場しました。ゆるキャラ乱立時代の到来です。
今やひとつの自治体に一体いるのは当たり前。自治体の中でも地域ごとにキャラクターがいる、という事例もあります。
どの自治体も、頑張って地元の名物を取り込んでご当地キャラを作ろうと必死になっている。
こうなってくると、あまり良くないですね。

ゆるキャラの本来の目的は、その地域のPRです。ですが、ゆるキャラがやたらめったら作られることによって、一体一体のインパクトが薄れてしまいます。
ゆるキャラグランプリの結果を見ても、記憶に残るのは上位のいくつかだけで20位以下となるとどれもおんなじに見えてしまいます。
なんだかよくわからない町の、同じような雰囲気のキャラクターがうごめき合っていても、興味が持てません。
こうなると、効果が出ませんよね。せっかく税金を使って地域をアピールしようとしているのに、これではだめです。ゆるキャラも没個性は良くない。

しかし、皆さんもご存じのように、成功したゆるキャラもたくさんいます。
それはどのようなものなのか。大きく分けて二つのタイプがあると私は考えます。

一つ目。ゆるキャラ乱立の前から知名度が高かったもの。
これは強いですよね。そもそもライバルが少ないので、ある程度のかわいさがあれば人気が出た。
ゆるキャラブームの火付け役ともなったグループです。
ゆるキャラグランプリ初代チャンピオンのひこにゃんや2代目、3代目チャンピオンのくまモンやバリィさんなどですね。チーバくんやぐんまちゃんもこの仲間に入れてもいいかもしれません。
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二つ目。ものすごく個性の強いもの。
没個性がだめなら個性的になっちゃえば良いじゃない、という考え。
代表ゆるキャラはにしこくん、オカザえもんカツオ人間ふなっしーなど。
下の画像を見ていただければわかると思いますが、こんなのがいたらイヤでも気になってしまいますね。うまい作戦です。
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(左:にしこくん、右:オカザえもん)


また、上の二つのタイプほどではありませんが、所属する自治体のレベルが高いほどキャラクターの知名度は高くなる傾向があります。
つまり、地域のキャラクターよりも市のキャラクターが、市のキャラクターよりも県のキャラクターの方が強くなりやすいということです。
特に県のキャラクターは強い。

たとえば、長野県のPRキャラクターで、アルクマというのがいます。
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2012年以降ゆるキャラグランプリでは常に中位以上に入り続け、県内トップをキープしています。
なぜアルクマは県内の自治体を抑えトップに君臨し続けるのか。
答えは簡単です。露出が多いから。服を着てないとかそういう話じゃないですよ、念のため。

市や村のキャラクターは、基本的にその自治体内でのイベントにしか登場しません。
特に田舎の村ではイベントもそんなに多くないため、なかなかお目にかかることができません。
余談ですが、そのせいか南箕輪村という小さな村のキャラクター「まっくん」はゆるキャラグランプリ最下位になったことさえあります。あまりかわいくないのが原因かもしれませんが。
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それに対し、県のキャラクターであるアルクマは、県内のイベントであればどこでも出演することができます。
この時点でも県のキャラクターの強さは圧倒的です。

さらに、アルクマは県を代表するキャラクターなので、長野県を外部に宣伝する場では必ずといって良いほどアルクマが起用されます。間違ってもまっくんなんかは出てきません。
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このため、アルクマの知名度は県外の人間からも高いものとなります。
まっくんの出番が村の広報誌くらいしかないことと比べると、全国的に露出のあるアルクマの方が強いことは一目瞭然ですね。
これでは小さな自治体のよくわからんキャラクターには勝ち目がありません。

逆に考えてみましょう。ゆるキャラ知名度を上げたければ、メディアへの露出を増やせば良いのです。
ですが、上に挙げた三つのタイプ(元から有名、超個性的、県のキャラクター)以外はそもそも注目されづらいので増やす以前に露出がほぼありません。
ないのなら、機会を作れば良い。たとえば、冒頭で紹介したトライくんの躍進の裏には、ラグビーワールドカップの誘致とそれに合わせたイメージチェンジ戦略がありました。
全国的に注目されるイベントを行えば、経済効果とゆるキャラによる知名度アップとが相乗的にはたらくので、自治体にとってはうれしいばかりですね。

ありきたりなゆるキャラを作っただけでなんの戦略もなしに地域PRをしようとしてもうまくいくわけがありません。
それどころか、税金の無駄遣いだと住民からの反感を買ってしまう。
没個性的なゆるキャラのインフレーション状態となっている現状が、安易な考えでゆるキャラを作り続けた結果です。

私はゆるキャラは好きですが、何でもかんでもゆるキャラを作れば良い、という考え方は嫌いです。
それぞれに個性がありその中にかわいさを見いだす、これが本来のゆるキャラというものだと思います。

最後に、私の推しキャラであるいしきりんを紹介したいと思います。
東大阪市にある石切商店街のキャラクターで、キリンの女の子です。一人称は「ボク」、体重はスイカ4個分。
2010年のゆるキャラグランプリでは六位を獲得しています。
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本当にかわいい。いつまででもみていられる気がします。

それではまた。