不健全な関係

あるところに、女子高生がいる。

彼女はファストフード店でアルバイトをしている。
彼女は自分が働いている店が好きだった。そして、働いてるときの自分が好きだった。

彼女が働く店は、慢性的に人手不足だった。
彼女は店の役に立ちたかったので、率先して人の足りない時間に働いた。
アルバイトの方が楽しいし店が混む時間に働かない訳にはいかないからと、彼女は金曜の夜に通っていたダンススクールを辞めた。

彼女はよっぽど店が好きなのか、自分の労働時間が終わっても長々と事務所に居座っていることが多い。
おそらく、店にしか居場所がないのだろう。

さらに、彼女は他の店員と話しやすいため、シフトの交渉役にもなっている。
人が集まらないと、自分が犠牲になって働く。
朝働いてから学校へ行き、下校後にもう一度夜まで働くというような生活である。

とにかく、家にいる時間よりも店にいる時間の方が長いのではないかと思えるくらいに、彼女は店に居座り続けている。
傍目から見れば、どう考えても異常な状況であることは一目瞭然だ。

しかし、彼女はその異常性を甘んじて受け入れている。
彼女に、「頑張ってるから一週間休んでいいよ」なんて言っても休もうとしないだろう。
もはや共依存ともいえるような不健全な状態になってしまっているのである。

この不健全な関係こそが所謂ブラック企業の本質なのではないか、という考えがここ最近の労働中にふと思い浮かんだ。

そして、程度が違えど自分もその関係に片足を突っ込んでしまっているような気がして恐ろしくなった。

ノンフィクションである。